ABRSM検定試験を春と秋両方受験していると、試験準備に追われてあっという間に過ぎてしまうという経験をしました。一年や一年半くらいの時間がピューっと去ってしまうような感覚でした。時の流れが早い早い... 汗。そして、思うところがあります。何らかの目的があってこの検定の取得を目指していて、且つ、この試験だけに集中できる環境が整っているのであれば真面目に一つ一つ進めていくのも良いと思うのです。できればDistinction(得点9割以上の高得点という意味)を狙うべきです。試験範囲がはっきりと明記されてますし、きちんと準備すればそれが可能な試験です。限られた天才しか受からないような試験ではありません。ある程度定型化した出題内容を学習し準備すれば9割の得点は可能な内容のABRSMのような試験は、「誠実に準備→高得点をとる」でフィニッシュすべきです。子どもにも、「このプロセス=準備を踏めば、この結果がでる」という成功体験を得て欲しいです。

しかし。他の習い事や他の試験との兼ね合いを良く精査してみると、我が家の場合そうも言っていられないようになってきました。時間が足りないんです。そして、貴重な資源である「時間・子ども本人の労力・お金」の三点についてよおく考えると...

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まず時間。これは本当に貴重な掛け替えのない資源です。過ぎてしまえば二度と戻ってきませんから。でも、ぼーっとしていると時間は猛スピードで駆けて行ってしまいます。ABRSMの実技試験を考えてみると、課題曲が三曲+音階やアルペジオ。そして、オーラル試験(リズム取りなどの簡単な内容ではありますが、それなりに準備は必要)が含まれています。楽器の先生に課題曲三曲を完成するところまでみてもらっていると、普段学んでいる楽譜(教本とか)の進みを一旦止めてしまうことになります。それでなければ、練習量とレッスン回数を倍に増やさないと辻褄が合わないことになります。でも、現実的には我が家には無理です。

一つ大切なことは、楽器を学ぶ目的は何か。という点について「子ども本人・楽器の先生・親」の三者がコンセンサスを持っていることです。仮に「ABRSM試験で高いGradeを高い得点で合格することこそが目的」と割り切るのであれば、この試験対策に慣れた先生に習い「楽器を習う=試験対策」という観点で進めれば良いでしょう。(アジアの中でも中華系の国はこの傾向が強いようです。)ただし、日本国内でのこの試験の知名度を考えるとそういった「ABRSM試験対策業者」のような先生を探すのはなかなか難しいです。インターナショナルスクールの生徒や駐在家庭の子息をピンポイントにターゲットして「英語で話しながら楽器を教えますよ」という先生(数は少ないですが、います。)を当たるしかありません。

逆に、我が家のケースはそうではなくて、楽器を学ぶ主目的は「技術の向上と音楽を通して見聞を広める、先生に習い音楽を作り上げてゆく、発表会でベストな演奏をできるようにする」です。試験合格が主目的ではありませんから、あくまで個人の先生との共同作業で教本なりを進めながら弾ける曲のバラエティを広げ、その中で技術を高めてゆきたいと考えているのです。ですから、一年に二度も試験対策の課題曲のために普段のレッスンを止めてしまうのは心が痛みます。「本人の将来のため良かれと思って」試験準備をして受験しても、結局のところ現実は楽器習得・成長のスピードを遅めてしまってるのでは?と思い始めてきました。

子ども本人が「本当に集中して技術向上のために思いを込めてWorkできる時間」というのは、一日の中で微々たるものです。ほとんどの場合、なんとなく弾いていて時間が過ぎているわけです。これは勉強でも楽器でも、スポーツでも同じことが言えると思うのですが、子どもが集中してHardWorkできるその瞬間をいかに引き出して結果につなげてあげるか。これは、私にとって永遠のテーマですけれど、容易なことではありません。

最後にお金という資源。正直言って、この試験の受験料は高いです。理論(筆記)試験と実技試験(別立てなので、どちらか片方でも両方でも好きなGradeを選んで受験可能)の両方を受けると3-4万円します。春と秋に両方受験したり、兄弟がいたりすると...。大変です。

Music Theory in Practice, Grade 5 (ABRSM) ペーパーバック Eric Taylor

以上のことから、これらの資源が枯渇してしまう前に、少し作戦の立て直しを図ろうと思います。実技試験のGradeをひとつひとつ受けてゆくよりも、個人の楽器の先生の方針にしっかりついて行ってまず演奏のスキルを上げることが重要。その中に、可能な限り読譜やソルフェージュ的な要素を日々組み入れてゆくこと。なるべく、「ソルフェージュの習い事を増やさずに」やりたいと思います。そして、まずは理論(筆記)試験でGradeを上げること=Grade5を取ることですね。基本的にはどのGradeでも好きなものを選んで受けて良いのですが、唯一「実技試験Grade6-8の受験には、理論試験Grade5を合格済みであること」という条件があります。この縛りに苦しめられ、実技試験のGrade6以上に進めないお子さんがたくさんいます。どのご家庭も、お子さんに理論試験のGrade5を取得するところまでお尻を叩いてやらせているようです。みなさん苦労されています。我が家もそのパターンになるでしょう。笑  というわけで、しばらく実技試験は無理をせず、やはり理論試験に重きを置いて進めたいですね。子どもに座学ばかりやらせるのは気が引けますが、「理論試験Grade5の縛り」は誰もが通る道。ならば通るしかない!

関連図書:Music Theory in Practice Grade 5 (ABRSM)

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