メディアもさることながら、巷でもIB(インターナショナルバカロレア)人気は高まる一方です。このブログでも以前とり上げたことがありますが、日本では今「グローバル人材育成のため!」と銘打って文科省主導で国内にIB認定校を増やすプランです。詳しくは「文部科学省IB教育推進コンソーシアム」をご覧頂きたいと思います。実際に私の周りでも、
「IBは優れた教育理念に違いない!」
「子どもをIBスクールに通わせたい!」
「IBやったらIVYリーグに入れるんですよね!!」 ( ← ダジャレですか??)
といった話を聞いたり聞かれたりすることが増えてきています。
私は個人的に、まずIBの理念そのものは大変素晴らしいものに違いないと思っています。けれど、①「日本人が元来持つ性質にそぐわない可能性があるかもしれない」②「全ての子どもがIBに向いているとは限らない気がする」③「認定校だけをやたらと増やしても、経験豊富で質の良いIB教師人材を確保することは容易でない」④「大学受験に際し、IBコーディネーターなど受験指導にあたる人材・スタッフが足りないのではないか」という見方をしています。仮に自分の子どもをIBの道に進ませるのだとしたら、相当な情報を集取し経験値と質の高いIB認定校を探しだすことが第一前提として必須であろう、という考えを持っています。①と②に関しては、子ども本人がIB向きかどうか、DP取得を目指すお年頃になった頃にその厳しい試験準備に耐えることができそうかどうか、をよく見極める必要があると思いますし、特に勉強の成果をアウトプットする際にIB独特のアウトプットの仕方に適性があるかどうか、という点は良く考えなくてはなりません。語弊があるかもしれませんが、非常に極端な例を挙げると、小学・中学時代に「YesかNoでしか答えられない。」「選択問題でしかうまく得点できない。」という性質を身につけた子どもが高校生の年齢になって突然IBを始めて高スコアを目指す、というのは現実的ではないと思います。
また③と④に関しては、子どもが通うIB校そのものの力量や経験値も非常に大きなファクターな気がします。もちろん提供できる教科の数や種類が、自分の子どもの要望に合っているか、という点もそうです。特にDP時の科目選択やスコアを上げるための戦略など、相談に乗ってくれる職員の経験値と技量は非常に重要です。どれほど良い大学へ、どれほど多く子ども達を送り出してきた経験を持つか、常にアップデートされた情報を携え、生徒達を後押ししてくれるか、にかかっているといっても良いほど重要なことです。また仮に「子どもがIB認定校に通っていてDPを取得するのが既定路線だけれども、自分の子が高得点を取れる見込みは低そうなので、IBではない他のカリキュラムに変更して大学受験準備をしたい。」という状況に陥った時に、学校はどういう対応をしてくれるのか、という点も親御さんの悩みの一つにあるかもしれません。「IBスコアの学校平均を上げることに貢献できそうにない生徒には非常に冷たい」というスクールが存在しないわけではないようですから、親御さんの心配は理解できます。
前回、英国ウィンブルドンのKing's College SchoolのIB成績について記事にしたことがあります。「すごい!の一言に尽きますね。」という反響をいくつか頂きました。今回は、ヨーロッパを離れ、インドでIB優秀校を見つけて見ました。アンバニ一族がムンバイに設立した「Dhirubhai Ambani International School」です。石油化学事業で財を成したインドのアンバニ一族は、世界で10か20かの指に入る大富豪一家です。このスクールは奥さんのニタ・アンバニさんが作ったスクールです。2003年に設立されたばかりのスクールがここまで優秀な成績をおさめるというのは、インドだから?なのかわかりませんが、頭の良いお子さん達が切磋琢磨して勉学に励んでいる様子が容易に想像できます。
(「Dhirubhai Ambani International School」スクールウェブサイトより引用)
このスクールの2019年のIBは平均スコアは39.5でした。(最高スコアは45)世界平均スコアが30くらい、東京にあるSt. Mary’s International School の2019年の平均スコアは34です。
このDhuirubhai Ambani は、生徒5名が最高スコア45を、13名が44をとっています。100名程度の卒業生のうち、MITやカルテック、ハーバードが一名。スタンフォードやケンブリッジが何人も受かるIB校のレベル感とはこのようなものなのですね。
(「Dhirubhai Ambani International School」スクールウェブサイトより引用)
(「Dhirubhai Ambani International School」スクールウェブサイトより引用)
参考図書:「世界で生きるチカラ:国際バカロレアが子どもたちを強くする」