宮本哲也さんという「宮本算数教室」を主宰されている方の本を読みました。「算数と国語を同時に伸ばす方法」という本です。ここで言う「国語」を日本語だとして考えると、日本国内で「国語=日本語」教科で受験をする予定がない我が家には、国語のテストの点数を気にする必要もないしテストテクニック的なものも特段必要としているわけでないのですが、それでも普段から「算数と国語のチカラの相関性」に関心がある私にはこの本はとても有益でした。

日本語と英語のどちらのことを「その子の国語」と呼ぶのかに関わらず、総じて「国語力」と「他の教科(この本では算数に焦点が当てられてますが)の学力」との関連性について、私は兼ねてから強く興味を持っていました。インターナショナルスクールに通っている場合、英語を国語として捉えて考えているご家庭もいれば、日本語を国語だと捉える考え方もおありでしょう。それがどちらなのかというのは問題ではなく、ここで私が論じているのはあくまで「国語力」の話です。何の言語でも構わないので、「そのお子さんが学習言語として今もこれからも使用してゆく言語のチカラ」として捉えながらこの本を読めば良いのだと思います。

参考図書:「算数と国語を同時に伸ばす方法」 著者 宮本哲也

単なるテスト攻略本や一発逆転モノの話、「ナントカ式」メソッドみたいな本には興味を持たないタチ、もっというと「そんなウマい話があるもんか!」と疑ってかかるタイプの私なのですが、この本は「たくさんの子ども達に実際に教え、観察し、傾向を熟知した」著者が書いたものなのでとても興味深く読ませて頂きました。臨床経験の多い医者の話は、経験の浅い医者の話より信憑性が高く聞く価値があるだろう、という考えからです。私はたった2人の子どもしか育て(ている)た経験がありませんが、この著者みたいな人はとにかくたくさんの子どもを見て教えてきているわけですからね。

「2 割る 1/2」

特に、分数の理解の仕方に関する記述には「ほほー。」と感心しました。仮に、公文が「2 割る 1/2」の計算問題を「ナゼそうなるのか」の説明や理解を抜きにして「割る1/2」を「掛ける2」に変換して「2 掛ける 2」とやりさえすれば良い、と機械的に計算することを教え込むのだとしたら、それは公文否定派が公文式メソッドを否定する材料となるであろうことが、よく分かりました。「2 割る 1/2」の計算問題は「2という数の中に、1/2 はいくつ分入っているのか?」という問題であることを理解しイメージできるべきである、というのがこの著者の説明です。私も同感です。それを理解した上で計算慣れして行ったその末に、「割る1/2」を「掛ける2」に変換して「2 掛ける 2」とやれば首尾よくできるのだ、という地点に達するならばそれはそれで良しだ、と思います。この著者が言いたいのは、本質を分かっていないのに計算の手順のみを暗記するのは良くない、という意見です。私もそれに賛成です。特にインター生は、この意見から大いに学ぶところがあると思います。インターの算数は、大量の計算問題を時間内に解くことが美徳とされることは少なく、答えを導くまでのプロセスを解説したり、1つの答えに達するために違う複数のアプローチが存在することを理解しているかが問われることがありますから。

無口な子どもは国語が苦手

これは普段から私が感じていることのうちの一つです。この著者も同じことを感じているようです。「よくしゃべる子はよく会話することによって言葉をインプットする機会とアウトプットする機会の両方が多く、その恩恵を受ける。」というような見方です。「自分の子どもが無口なのは性格だから、と言ってしまう親がいますが、実はそうではないかもしれない。」という話題にも触れています。これは私も、インターナショナルスクールに通う子ども達を見ていていつも思っていたことです。インターの外の世界だって同じことをが言えるんだ、プロの教育者でもそう感じているんだ、というのが分かって納得。

私が日頃からインターナショナルスクールの環境の中にいて感じるのは、①「無口だから」に加え②「極端に低年齢からのスマホ中毒・ゲーム中毒」そしてそこに③「インターに入ったあと、母国語が完全に確立していまま何年も経過する。そして、両親のどちらも"インターで使う言語=子どもにとって学習言語=英語"を流暢に操らない家庭である。」などの要因が重なりに重なってしまって、言語力が極めてPoorな子どもが増えているということです。③の条件はたいてい、片親が日本人のハーフのケースや、両親ともに日本人のケースが当てはまることが多いと思います。就学年齢の大事な時期に①②③のトリプルパンチを食らうと、お子さんはアカデミック領域でも日常生活や就職後のキャリアでも、将来的に非常に大きな(しかも長期にわたる)痛手を受けることになるかもしれないな、と私は恐れています。

親子の会話から

「親子の会話から」という章には子育てのヒントが、しかも、実践可能なヒントが挙げられています。インターナショナルスクールに通っているお子さんにも、もちろん応用可能なものです。「親子の会話がゼロだと、国語力にも影響するだろうな。」という不安はいつも私の心にあるので小さなことでも、「何でそう思ったの?」とか「もしこうだったら、あなたならどうする?」というようなオープンクエスチョンをたくさん投げかけるように私もしています。できれば小学低学年あたりのお子さんの親御さんにオススメの一冊。

参考図書:「算数と国語を同時に伸ばす方法」 著者 宮本哲也